『知って〜ま〜す?百武さん。』
と、翔太が小鼻を広げて嬉しそうに言った。
『O〜bi〜hiroにもスタバがオープンしたんすよ』
この時、俺の脳裏には10年前の長野新幹線の開通を
喜んだ人の言葉が浮かんで来た。
彼女は「もう長野は地方ではありませんよ。百武さん。」
(そうかなぁ。)
『首都圏ですよ。通勤圏ですよ』
(そうかなぁ。)
『一時間半ですよ。90分ですよ。もう東京ですよ。』
(そ、そうかなぁ)
そんな喜びが翔太の小鼻の開き加減から伝わっってくる。
帯広は札幌まで車で3時間くらいだ。
『街に行ってくる』とはSapporoに行くことだ。
スタバは都会の匂いがする。
『もう、coffee espressoだって、
キャラメルfrappuccinoだって、
抹茶ラテだって、
飲めるんだゾ〜』と、若者はスタバの前に並んだそうだ。
俺はスタバが好きだ。特に地方は空間が広い、
窓から見える景色は緑である。
『百武さ〜ん。知ってます〜う』と、
富山の城尾くんが俺の顔を覗き込んだ。
もちろん、小鼻が広がっている。
「富山のスタバは日本一だ〜そう〜でちゅう」
なんでも公園の中にあり、今流行りの図書館と併設されて、
とても綺麗らしい。
行ってみたいな!
富山と言えば鱒寿司しか浮かばなかった俺の脳裏に
可愛い子とcoffeeしているオジサンの姿が浮かんだ。