Q1.ゲシュタルト療法とは、どのようなものですか?
ゲシュタルト療法は
精神分析医フレデリック・パールズ(Frederick S. Perls )と
妻のゲシュタルト心理学者のローラ・パールズ(Laura Perls)、
そして編集者のポール・グッドマン(Paul Goodman)の三人によって創られた
実践的な心理療法です。
「今-ここ」に意識を向ける気づきの心理療法です。
Q2.<気づく>ことは、どのように重要ですか?
動物は必要なことに<気づく>能力を持っています。人も生存するために必要なことに<気づく>能力を発達させた有機体として存在しています。有機体としての人は自ら環境に働きかけ、必要なことを選択して自己調整をしながら成長していくのです。
この<気づく>ことが出来る能力があるから動物も植物も人も生きていくことが可能になるのです。
ゲシュタルト療法はこの気づきを3つの領域に分けてアプローチしていきます。
Q3.ゲシュタルト療法は、どのような進め方をするのですか?
ゲシュタルト療法は
- 環境(外部領域)
- 身体・精神(内部領域)
- 考えたり判断したりする思考能力(中間領域)
に、「今、ここ」の一瞬一瞬に気づきを向けるようにします。
意識をゆっくりとこの3つの領域に向けることでゲシュタルト(全体性)の意味に気づくことが可能になるのです。
Q4.ゲシュタルト療法を体験することで、どのような変化があり得ますか? どのように役に立つのですか?
人は気づくことで自己成長することが出来ます。したがって、自分の求めていることに気づくこと、人生の行き詰まりを突破すること、人間関係の改善などが自然と起こります。
またゲシュタルトの気づきの原理を理解した人は、ビジネスや経営能力あるいはリーダーシップがアップします。その理由は現実とのコンタクト(外部領域)がキチンと出来るようになるために情報を選択する能力がつくからです。
セラピストはカウンセリング能力が身に付きクライアントとのコミュニケーションが上手くいくようになります。セラピストが自分の内面に気づき、クライアントの気持ちに自然と寄り添えるからです。そのために自分の考え(中間領域)を相手にも伝えるコツ(外部領域とのコンタクト)が高まります。
Q5.特に、どのような人に薦めたいですか?
最近は多くのセラピストやビジネスコンサルタントの人がゲシュタルト療法のワークショップに参加するようになって来ました。このように臨床の現場でクライアントを支援したい人、新しく起業を模索している人、独特なリーダーシップや組織論を求めている人などです。
何故かというとゲシュタルト療法の魅力は<人生>にアプローチするからです。実存主義や現象学の哲学が背景になっている心理療法は、どのように生きていくのかを問いかけるからです。また症状はどのような人生の表現なのかと問いかけます。
最近では企業のリーダーシップや人間関係にも独自の哲学を持っている人たちが求められています。マニュアルに基づいた組織論では難しいからです。そこにある本当の関わりに視点を向ける人たちに勧めたいです。
Q6.ゲシュタルト療法は、誰でも体験できますか? 初心者が参加しても構いませんか?
気づきの体験は「アッハー体験」とも呼ばれていますが、この体験は特別な訓練やトレーニングを受けなくても誰にでも起こることです。その「アッハー体験」の原理を知ることが出来ればよいわけです。
この「アッハー体験」は知識による気づきではなく、身体の感情・神経・生理的な感覚が重なり合って<からだ>で納得することを言います。
人は子供のころから自分の好きなことを発見したり、本当にしたいことに気づく体験を積み重ねています。
ゲシュタルト療法は気づきの3つの領域に意識を向けるアプローチを行います。それが統合される時が「アッハー体験」だからです。
Q7.他のカウンセリングとどう違うのですか?
カウンセリングはカウンセラーがクライアントを支援するために言葉による相互理解のコミュニケーションを行います。
ゲシュタルトは人を一つの有機体として扱います。そのために精神と身体を一つの有機体としてみて、知識による知的な気づきではなく、からだ(身体・精神)からの気づきや深い洞察へのアプローチをします。
Q8.既に別の療法に習熟している臨床家がゲシュタルト療法を学ぶメリットは何ですか?
ゲシュタルト療法は実践的な心理療法です。それだけに他の療法を学んでいてもゲシュタルトの哲学や理論に基づいたアプローチは実用的です。それ以上にセラピストとしての立つ位置や存在感が求められるゲシュタルトは専門家としての成長にも役立つはずです。
ゲシュタルト療法はまず体験をすることから始めます。自分の生き方や問題をワークしながら進みます。例えば「今―ここ」という言葉ではなく、「今―ここ」で私の身体を体験する瞬間を積み重ねていきます。人間関係においても「今―ここ」の瞬間に、私はどのように相手とコンタクトしているのか、どのように避けているのかを体験するのです。
このようにしていくことで本来の自分の独自性が生まれてきます。それが存在感となったります。
Q9.ゲシュタルト・ファシリテーターの中で、特に百武さんのアプローチの特色はどのようなところにありますか?
たぶん若い時にカリフォルニアで生活した経験は大きいです。日本人の湿っぽい人生観から「自分中心」でOKというカリフォルニア的視点に切り替えられたことが大いに役立っていると思います。メキシコ人、アジア人、黒人、インディアンなど人種のるつぼに居ると「自分のしたいこと」を知っている人が尊敬されます。そして言葉や行動で表現することが大切になってきます。日本の社会では相手が理解してくれるのを待つ方が良いかもしれませんが、それぞれが異なる価値観の集団では「自分=表現」することなのです。
またボディワークとしてフェルデンクライスの国際資格もあり、身体にアプローチする独特の視点は「不安、パニック」などの人に「呼吸と筋肉」、「精神と身体」の統合に役だったと思います。またソマテック心理学の源流といえるゲシュタルト療法の原点にもなっています。
Q10.メッセージ
ゲシュタルト療法は面白いぜ(^e^)。まずは体験してみなよ。